自己紹介&研究紹介
- tanpopofukuoka
- 2015年4月7日
- 読了時間: 4分

はじめまして、九大博物館タンポポ調査事務局の満行知花といいます。
大学卒業後、タンポポ研究で大学院進学し、タンポポで博士を取り、タンポポでポスドクになり、
そして、4月から縁あって、九大博物館で西日本タンポポ調査・福岡に関わらせて頂く事になりました。
この7年間、タンポポさんにはお世話になりっぱなしです。
ここでは、タンポポのお話や、福岡のタンポポ調査状況について、書いていけたらと思っています。
まずは自己紹介がてら、これまでの研究内容を。
外来種セイヨウタンポポは、無性でタネを作ってどんどん増える!
私は、有性生殖と無性生殖に興味を持っていた事がきっかけで、タンポポ研究をはじめました。
というのも、日本に昔から生えているニホンタンポポ*は、花粉を受粉してタネをつくる、有性生殖でしか繁殖できません。
しかし、ヨーロッパから入ってきた外来種、セイヨウタンポポやアカミタンポポは倍数体で、受粉せずに全て自動的にタネができる、という無性生殖をします。
1つでもあれば、クローンでどんどん増えていく事ができるので、すごい繁殖力です。
しかし、無性生殖には欠点もあります。
有性生殖では、お父さんとお母さんの遺伝子が混ざって、新しい遺伝子の組み合わせの子供ができます。
そうやって、環境の変化に合わせて適応進化していくことが出来ます。
しかし、無性生殖では、基本的にはお母さんと全く同じ遺伝子になります。
そのため、適応進化の行き止まりになってしまうと考えられてきました。
ただ、どうやらタンポポではそうではなさそうです。
セイヨウタンポポ、無性生殖+有性生殖の最強の戦略!?
実は10年ほど前、セイヨウタンポポとニホンタンポポの間の雑種が発見されました(Shibaike et al. 2002)。
・・・え?セイヨウタンポポは無性でタネをつけるのでは?
その通りです。セイヨウタンポポは受粉前には既に胚の発生が始まり、全て無性的にタネを作ります。
自分のタネは全部クローンで作ってしまう。
ところが、さらに花粉も作っていて、これが、ニホンタンポポに付いて雑種が生じたと考えられています。
見た目はセイヨウタンポポそっくりで、外総苞片が反り返り、無性でタネを作って繁殖します。
ほとんどがセイヨウタンポポではなく雑種だった
その後の研究で、それまでセイヨウタンポポと考えられていたタンポポのほとんどは雑種という事が明らかになりました。
2002年の全国調査では、サンプル数は少ないですが、セイヨウタンポポに見えるタンポポのDNA解析をした結果、全国平均80%以上、特に都市部である東京は99.8%、愛知100%とかなりの割合が雑種と判定されています。
私たちが道ばたでよく見かけるタンポポ、あれは、雑種タンポポだったのです。
いま、日本では雑種タンポポが進化している・・・?
雑種は無性的にタネを作りますが、さらに花粉も作っています(一部作らない個体も存在)。
つまり、野外でも雑種とニホンタンポポは繰り返し交配している可能性があります。
雑種がニホンタンポポと繰り返し交配すると・・・
先ほどお話したように、雑種は有性生殖によって遺伝的多様性が生じ、進化の行き止まりを免れられる。
しかし、それだけではありません!
ニホンタンポポは、長い年月をかけて、日本の環境に適した遺伝子を獲得するよう進化してきたと考えられます。
雑種は、ニホンタンポポとの繰り返しの交配で、それらの遺伝子を取り込み、急速に進化できるかもしれません。
私は、この、現在日本で起きている進化を実証する事を目的に、研究を行ってきました。
ここから私の研究を書き始めると長〜くなってしまいそうなので、
続きは、また別の記事で書くことにします。
*ニホンタンポポ:2倍体在来タンポポは、シナノタンポポ、トウカイタンポポ、カンサイタンポポ、など名前が付けられていますが、ここでは簡単のためにニホンタンポポと書いています。
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