[タンポポ調査近況]2倍体の花粉たち
こんにちは、九大タンポポ調査事務局の満行知花です。
2倍体の花粉のUP、遅くなりました。
その間、次々とサンプルが送られ、現在682サンプルに増えました!
ご協力くださったみなさま、ありがとうございます。
タンポポ調査もいよいよ大詰めですね。
現在までに福岡に送られているタンポポ分布図はこちらをクリック
それでは、花粉のお話です。
倍数体タンポポ(外来種セイヨウタンポポなど)は、無性的な種子形成で繁殖するので、
花粉はいわばオマケのようなもので、無くても問題ありません。
むしろ、花粉生産のコストを考えると、花粉は作らない方が断然良いように思います。
(例えば、"Male sterility in triploid dandelions: asexual females vs asexual hermaphrodites
P G Meirmans, H (J) C M Den Nijs and P H Van Tienderen, Heredity (2006) 96, 45–52. "
の論文では、花粉を生産しないタンポポは、花粉を生産するタンポポよりも頭花数が38%も
多くなっています。)
それならば、倍数体タンポポはすべて花粉を生産しない、というように進化するはずです。
『倍数体タンポポが、なぜ必要もない花粉を沢山生産するのか』ということは、
かのメイナード・スミスが疑問として取り上げているくらい(Maynard Smith, 1978)の、
一大テーマなのです。
そういうわけで、倍数体の花粉は、サイズもバラバラで(そもそも3価の染色体などでは
均一に2つには分けられない)、繁殖に使える花粉は一部しかありませんが、
2倍体タンポポ(=有性生殖)は、花粉を受粉しなければ繁殖出来ないので、花粉は重要です。
きちんと、1セットのゲノムを持った均一なサイズの花粉を作ります
今日こそは、その均一なサイズの花粉をUPしたいです。
さて、福岡では、現在は2倍体タンポポはカンサイタンポポしか確認されていません。
ただ、今回の調査で、カンサイタンポポの白花という珍しいものが送られてきました。
調査者からいただいた写真がこちらです。
たしかに、花やつぼみの形が隣に生えているカンサイタンポポそっくりです。
花の色だけが白くなったように見えます。
ただ、私は、黄花の種の変異体で白花になるものを見た事がありませんでした。
カンサイタンポポにそっくりだけど、実はシロバナタンポポ(5倍体)なのでは・・・?
という気持ちもあって、花粉観察です。
花粉がなかなか見付からない。やっと見つけた2つ。
でも、これだけではサイズが均一か分かりません・・・
いくつかの花粉、発見です。サイズが揃っています。
白い花びらに、均一なサイズの花粉が乗っているのは、かなり貴重ですね。
もっと大量の花粉発見です!
これだけ沢山あっても、特別小さな花粉、大きな花粉が見当たりませんね。
本当に、カンサイタンポポの白花のようです。
その他にも、今回のタンポポ調査では、変わったものが沢山送られてきました。
福岡に送られてきたもののうち、同定出来ない変わったものは遺伝子型解析で確認する予定です。
やはり、結果が気になりますもんね。
面白い事が分かったら、こちらでもご報告します!
それでは、早速DNA抽出してきます〜